ある中学校生徒達の医療AIに関するQ&A(2025年1月版)

ある中学校生徒達の医療AIに関するQ&A(2025年1月版)

質問①:もし人工知能を使った診断で、誤診をしてそのまま手術をして失敗してしまった場合、誰が責任を取るのですか?

これはとても大切な質問ですね。人工知能はまだ発展途上の技術なので 、時には間違った診断をしてしまう可能性もあります。

人工知能を使った診断で誤診があり手術が失敗してしまった場合、最終的な責任は、その診断結果を参考に手術を行った医師にあります

医師は、人工知能が出した診断結果を鵜呑みにするのではなく、自分の知識や経験に基づいて、最終的な判断を下さなければなりません

AIはあくまでも医師を助けるための道具であり、最終的な判断は医師が責任を持って行う必要があるのです。

質問②:医療に人工知能を使うことによるメリット、デメリットはなんですか?

人工知能を医療に使うことには、たくさんのメリットがあります。

病気の早期発見:

例えば、AIはレントゲン写真やCT画像から、がんのような病気を人間よりも早く
正確に見つけることができます

まるで、人間の目では見えない小さな変化見つけることができる、

すごい顕微鏡のようです。

医師の負担軽減:

AIが診断や事務作業の一部を代わりに行ってくれることで、医師は患者さんと
向き合う時間を増やすことができます 。 先生も、AIのおかげで、もっと患者さんの話を
じっくり聞くことができるようになるかもしれませんね。

新しい薬の開発:

AIは膨大な量のデータから、新しい薬の開発に役立つ情報を見つけ出すことができます

例えば、AIは、たくさんの薬の成分や効果に関するデータを読み解き、

新しい薬の組み合わせを見つけ出すことができるのです。

地域格差の減少:

インターネットとAIを組み合わせることで、遠く離れた場所に住んでいる人でも、
専門の医師の診察を受けやすくなります 1 。これは、AIを使ったオンライン診療です。

一方で、デメリットもあります。

誤診のリスク:

まだ完璧ではないため、AIが誤った診断をしてしまう可能性があります7

そのため、医師はAIの診断結果を慎重に確認する必要があります。

コスト:

AIを導入するためには、高額な費用がかかります 8 。病院は、AIを導入するために、
新しいコンピューターやソフトを準備する必要があるからです。

倫理的な問題:

AIが患者さんの個人情報にアクセスすることによるプライバシーの問題など、
倫理的な課題も存在します。

質問③:人工知能を導入するうえで、重要なことは何ですか?

人工知能を医療に導入するうえで、重要なことは以下の点が挙げられます。

正確性:
AIの診断精度を高めるために、大量のデータを使ってAIを学習させる必要があります 8AIは、たくさんのデータから学ぶことで、より正確な診断ができるようになるからです。

安全性: 患者さんの安全を守るために、AIの誤診やエラーを最小限に抑える必要があります 9AIが誤った診断をしてしまうと、患者さんが危険な目に遭ってしまう可能性もあります。

倫理: 患者さんのプライバシー保護など、倫理的な問題にも配慮する必要があります。 AIは、患者さんの大切な個人情報を扱うため、プライバシーを守ることがとても重要です。

説明責任:

AIがどのように診断結果を出したのかを、患者さんにもわかりやすく説明できる必要があります 7 。AIが出した診断結果が、なぜそうなのかを、患者さんにきちんと説明することが大切です。

質問④:人工知能はどのような診断が得意で、どのような診断が不得意ですか?

AIは、大量のデータからパターンを学習することが得意です。そのため、画像診断のように、多くの画像データから病気を判別するような診断が得意です 例えば、肺がんや乳がんの早期発見に役立っています。 また、AIは、人間の医師が見逃してしまうような、小さな変化も見つけることができます 一方、AIは人間の感情や経験に基づいた判断 が苦手です 10 例えば、患者さんの気持ちを理解したり、複雑な症状を総合的に判断したりすることは、まだ人間の方が得意です。

AIの新しい活用法:オンライン診断

AIは、病院の中だけでなく、インターネット上でも活躍しています。AIを使ったオンライン診断システムでは、患者さんが自分の症状をAIに伝えることで、AIが病気の可能性や、受診すべき診療科などを教えてくれます。 11 これは、忙しい人や、病院に行くのが難しい人にとって、とても便利なシステムです。

AIで病院の働き方も変わる?

AIは、病院の働き方を大きく変える可能性も秘めています。AIが、入院患者のリスクを予測し、重症度や予後の悪い患者に医療資源を優先的に配分することも可能です12 こうすることで、限られた医療資源をより効率的に使うことができます。また、AIは、病院の事務作業を自動化することで、医療従事者の負担を減ら患者さんのケアに集中できる時間を増やすことにも役立ちます 5

質問⑤: 人工知能を導入するのに初期費用はどのくらいかかりますか?

AIを病院に導入するには、いくらか費用がかかります。これは、AIの種類や導入する病院の規模によって大きく変わります例えば、皆さんが使っているスマートフォンにもAIが搭載されていますが、病院で使うAIは、それよりもはるかに高度で複雑なため、費用も高くなります。欧米では、簡単なAI機能を導入するだけなら、約600万円ほどで済む場合もあります 13。しかし、高度なAIを導入して、病院全体で活用できるようにするには、1億5千万円以上かかることもあります 13

日本では、一般的に、AI導入の初期費用には、ソフトウェアやハードウェアの購入費用、導入サポートやコンサルティング費用が含まれます。具体的には、AIモデルの本開発にかかる費用は、月額80万円から250万円程度が相場とされています14AIを導入する費用には、新しい機械を買う費用だけでなく、AIを動かすためのコンピューターやソフト、そしてAIに医療データを学習させるための費用なども含まます。AIにも色々な種類があります。

欧米でのAI導入の初期費用の例(1ドル150円で換算)

IAモデルの種類

費用(目安)

開発期間(目安)

説明

機械学習アルゴリズム

2,250万円~3,000万円

3~6か月

未来を予測したり、リスクを計算したり、

データを分類したりするのに使われます。

ニューラルネットワーク

3,000万円~4,500万円以上

6~9か月以上

複雑なパターンの認識や診断ツールに最適です。

生成AI(LLMモデル)

3,750万円~7,500万円以上

6~12か月以上

臨床記録やチャットボットに利用されます。

コンピュータビジョンモデル

2,700万円~6,000万円以上

6~12か月

画像診断などに特化しています。

AIを搭載したRPA

(ロボティックプロセスオートメーション)

1,500万円~3,750万円

3~6か月

請求や患者の受け入れなどの事務作業を効率化します。

引用文献15

このように、AIの種類によって費用や開発期間は大きく異なります。

AIを導入する際には、費用だけでなく、その効果についても考える必要があります。例えば、脳卒中の診断にAIを導入することで、診断の精度が向上し、治療費が削減できるだけでなく、患者の生活の質も向上することが期待されています 16

質問⑥: 人工知能を維持するのにはどのくらい費用がかかるのですか?

AIを導入した後も、維持するための費用がかかります。これは、AIのシステムを最新の状態に保ったり、AIに新しい医療データを学習させたりするための費用です。

維持費は、初期費用の15~20%程度と言われています 17。例えば、初期費用が1億5千万円だった場合、年間2250万円から3000万円の維持費がかかることになります。

また日本では、AIシステムの導入後には、定期的な保守やメンテナンスが必要であり、れにかかる維持費用は月額で数万円から数十万円程度になることが一般的です18さらに、AI導入の初期段階では、予測対象を一部に絞り、限定的にスタートすることが多く、これにより初期投資を抑えることが可能です19

なぜ、AIを維持するためにお金がかかるのでしょうか?それは、AIが常に勉強し続けているからです。例えば、皆さんが学校で新しいことを学ぶように、AIも常に新しい情報を取り入れて学習し続けることで、より正確な診断や治療ができるようになります。新しい病気の発見や治療法の開発など、医療の世界は常に進歩しています。AIも、この進歩に合わせて常に学習し続ける必要があるため、維持費をかけてAIを最新の状態に保つことは、とても重要なのです。


質問⑦: 人工知能の導入された後も、医師による判断は必要ですか?

AIは、画像診断で病気を発見したり、大量のデータから最適な治療法を見つけたりすることができます。しかし、AIだけで全ての医療行為を行うことはできません。AIはあくまでも医師をサポートするものであり、最終的な判断は医師が行います 20なぜなら、AIは過去のデータに基づいて判断を行うため、予期せぬ状況や複雑な患者の状況に対応することが難しいからです。例えば、AIが画像から「肺炎の疑いあり」と診断したとしても、患者の症状や生活習慣などを考慮して、最終的な診断を下すのは医師の役割です。

また、患者さんとのコミュニケーションや、治療方針の説明など、AIにはできないこともたくさんあります。医師は、AIを活用しながらも、患者さん一人ひとりに寄り添った医療を提供していく必要があります。

AIによる診断は、「タスクの分類」という作業を繰り返すことで行われます 21。まず、患者の症状を様々なタスクに分類し、次に、そのタスクと病気のデータベースを照らし合わせることで、診断を行います。AIはこのような複雑なプロセスを高速で行うことができますが、最終的な判断は医師が行う必要があるのです。

質問⑧: 人工知能だけで手術はできますか?

現在の技術では、AIだけで手術を行うことはできません 22AIは、手術中の画像解析や、手術のシミュレーションなど、手術を支援する技術として活用されています。例えば、手術ロボットをAIで制御することで、より正確で安全な手術を行うことができます。しかし、手術は非常に複雑な医療行為であり、患者の状態は刻一刻と変化します。そのため、手術中に起こる様々な状況に対応し、適切な判断を下すためには、医師の経験と知識が不可欠です。

AIは、手術の様々な場面で活躍が期待されています。例えば、手術前に患者のリスクを予測したり 23、手術中のロボットを制御したり 8、手術のシミュレーションで医師の訓練を支援したり 23 することができます。

また、AIは内視鏡手術中にポリープを発見したり 24、腹腔鏡下胆嚢摘出術の次のステップを予測したり 24 することもできます。

将来、AI技術がさらに進歩すれば、AIだけで手術を行うことも可能になるかもしれません。しかし、現時点では、AIはあくまでも医師をサポートするツールであり、終的な責任は医師が負うことになります。

引用文献

1. 健康医療分野における AI の民刑事責任に関する検討, 1月 21, 2025にアクセス、 https://sd6ed8aaa66162521.jimcontent.com/download/version/1602141751/module/9076032076/name/13-7.pdf

2. AIと専門家責任、AI導入による医師・医療機関の法的責任とは | 古賀克重法律事務所ブログ, 1月 21, 2025にアクセス、 https://www.lawyer-koga.jp/blog/?p=1790

3. 研究報告書5 医療AIと法的責任に関する研究 厚生労働省の「医療AI通知」をてがかりに医師法17条との関係を考える - 厚生労働科学研究成果データベース, 1月 21, 2025にアクセス、 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2018/181014/201804002A_upload/201804002A0008.pdf

4. 医療の現場でAI活用を進めるメリット・デメリット | 株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト, 1月 21, 2025にアクセス、 https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/technology/ai-medical.html

5. 医療AIとは?現場での活用事例・メリットとデメリットを簡単解説! - AIsmiley, 1月 21, 2025にアクセス、 https://aismiley.co.jp/ai_news/medical-ai/

6. AIについて中学生にもわかるように解説してみる, 1月 21, 2025にアクセス、 https://non-programmer.or.jp/blog/voicy-explain-juniorhigh-ai/

7. 「AIがなぜ誤診」、患者に説明できない恐れも ブラックボックス化で、総務省研究所が報告書公表, 1月 21, 2025にアクセス、 https://medical-saponet.mynavi.jp/news/newstopics/detail_271

8. 医療分野におけるAIの活用例|メリットや注意点も解説 - alt, 1月 21, 2025にアクセス、 https://alt.ai/aiprojects/blog/gpt_blog-2509/

9. 医療AI技術は医療過誤責任を増 させるか? ―臨床上の意思決定 援の場 を念頭に, 1月 21, 2025にアクセス、 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202004002A-buntan7.pdf

10. 進化し続けるAIの得意分野と苦手分野について - 岡山のホームページ制作・Web制作会社, 1月 21, 2025にアクセス、 https://switch.am/newsblog/12336/

11. AIを活用した医療のメリットとデメリットは? | ソニーの開発者ポータル - Sony, 1月 21, 2025にアクセス、 https://developer.sony.com/ja/spresense/ai-column/ai-columns/advantages-and-disadvantages-of-ai-based-medical-care

12. 医療AIとは?導入するメリットや注意点を解説 - 発注ナビ, 1月 21, 2025にアクセス、 https://hnavi.co.jp/knowledge/blog/medical-ai/

13. Assessing the Cost of Implementing AI in Healthcare - ITRex Group, 1月 21, 2025にアクセス、 https://itrexgroup.com/blog/assessing-the-costs-of-implementing-ai-in-healthcare/

14. AI・人工知能の導入費用相場は?実装から運用の流れとコスト, 1月 21, 2025にアクセス,、https://aismiley.co.jp/ai_news/ai-development-price/

15. Complete Guide to the Cost of Implementing AI in Healthcare - Topflight Apps, 1月 21, 2025にアクセス、 https://topflightapps.com/ideas/cost-of-ai-in-healthcare/

16. Cost-effectiveness of artificial intelligence aided vessel occlusion detection in acute stroke: an early health technology assessment - PMC, 1月 21, 2025にアクセス、 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8464539/

17. Unraveling the Costs of Medical AI: A Comprehensive Guide - Scribeberry blog, 1月 21, 2025にアクセス、 https://blog.scribeberry.com/unraveling-the-costs-of-medical-ai/

18. AI導入の費用を徹底解説 初期コストから年間運用まで│【リカイゼン】見積依頼・発注先探しのビジネスマッチングサイト, 1月 21, 2025にアクセスhttps://rekaizen.com/article/detail/desgital-transformation/18828

19. AI導入ガイドブック - 経済産業省, 1月 21, 2025にアクセス、 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/AIguidebook_DemandForecast_MFG_FIX.pdf

20. A Second (Human) Opinion: Enhancing Doctors' Trust in AI Diagnostics, 1月 21, 2025にアクセス、 https://engineering.jhu.edu/news/you-gotta-have-faith-in-the-algorithm/

21. How Clinicians Perceive Artificial Intelligence–Assisted Technologies in Diagnostic Decision Making: Mixed Methods Approach, 1月 21, 2025にアクセス、 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8726017/

22. The Future of Surgery is More Than Robots - Asensus Surgical, 1月 21, 2025にアクセス、 https://www.asensus.com/blog/future-surgery-more-robots

23. The potential of AI in surgery - Digital Health Global, 1月 21, 2025にアクセス、 https://www.digitalhealthglobal.com/the-potential-of-ai-in-surgery/

24. AI Is Poised to “Revolutionize” Surgery | ACS - The American College of Surgeons, 1月 21, 2025にアクセス、 https://www.facs.org/for-medical-professionals/news-publications/news-and-articles/bulletin/2023/june-2023-volume-108-issue-6/ai-is-poised-to-revolutionize-surgery/


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